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覚えておきたい遺留分減殺の順序と時効

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遺留分減殺請求のその他の効力

受贈者は、その返還すべき財産の他、減殺の請求があった日以降の果実を返還しなければなりません。(民法1036条)遡及効からすると、相続開始時からの返還となりますが、受贈者が遺留分侵害を知らないことが多く、知っていても果実は収取することが不確実なもので、受贈者に酷ですから、減殺の請求があった日以後の果実を返還すれば足りるとしています。

 

遺留分減殺の順序

  1. 遺贈と贈与
    <第一順序>
    減殺されるべき遺贈及び贈与が複数存在するときは、まず遺贈から減殺します(民法1033条)。贈与財産が相続開始前に相続財産から逸出している点が考慮されています。
    <第二順序>
    遺贈が複数あるときは、遺言者の別段の意思が表明されていない場合には、遺贈の価額の割合に応じて減殺します(民法1034条)。
    各遺贈を対等のレベルで遺留分を侵害していると評価した結果です。
    <第三順序>
    遺贈が減殺され、それでも遺留分が保全されないときに贈与が減殺されます
    贈与は被相続人の生前にその効果が生じていますが、遺贈は相続が開始してからその効果が生じるものであり、事後的に効果を覆す相手方への影響を配慮した定めです。
    <第四順序>
    贈与が複数のときは、相続開始時に近い贈与から始め、順次前の贈与にさかのぼります(民法1035条)。
  2. 死因贈与
    死因贈与は、遺贈に次いで生前贈与より先に遺留分減殺の対象とすべきです。
    以上減殺の順序をまとめますと、遺贈⇒死因贈与⇒生前贈与の順となります。
  3. 「特定の遺産を特定の相続人に相続させる」旨の遺言は遺贈と同視できます

 

遺留分減殺請求の相手方が無資力の場合

受贈者等遺留分減殺請求の相手方が無資力の場合、損失は遺留分権利者の負担となり、他の贈与に対して減殺請求することはできません。(民法1037条)

減殺の順序は法定されていますので、当事者の意思によっては変更できないため、この順序で減殺すべき額が個別的に計算上定まるため、本来なら減殺を受けるはずのない受贈者が先順位者の無資力という偶然の事実によって損害を被るのは公平に反します。

また遺留分権利者は、減殺すべき物件を選択して減殺請求することはできません。しかし、受遺者、受贈者には価額弁償する物件を選択する権利があります

 

遺留分減殺請求権と価額弁償

  1. 現物返還
    遺贈につき遺留分権利者が減殺請求権を行使すると、遺贈は遺留分を侵害する限度で失効し、受遺者が取得した権利はその限度で当然に(物権的に)減殺請求をした遺留分権利者に帰属します。この物権的に戻った権利は、遺産分割を予定しない共有持ち分であり、共有状態を解消するためには共有物分割手続きによります。
  2. 現物返還に代わる価額弁償(減殺請求の相手方からの価額弁償権)
    【意義】
    特定物の贈与・遺贈の場合、減殺請求の相手方は、現物を返還するのが原則ですが、価額で弁償することも許されます。(民法1041条)
    【趣旨】
    分割によって経済的・社会的価値を著しく喪失する場合に現物での分割や返還を免れるためです。例えば、事業承継のために相続人の一人に事業用資産や株式を集中する遺言処分をした場合に、その相続人は、価額弁償によって、事業用資産の分割を免れ、会社の経営権を保持することができます。
    ※民法1041条1項(受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。)

(日本加除出版発行「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」より)

 

遺留分減殺請求権の消滅時効

  1. 遺留分減殺請求権の行使期間
    遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知った時から1年で時効により消滅します(民法1042条前段)。
    また、相続開始時から10年を経過すれば消滅します(除斥期間・民法1042条後段)。
  2. 時効の起算点
    「減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知った時」とは、贈与や遺贈が自己の遺留分額を侵害し、減殺の対象となることまで認識していることが必要です。
    遺留分権利者が単に被相続人の財産の贈与があったことを知るだけでは足りず、その贈与が減殺すべきものであることを知った時を指します。
  3. 遺留分減殺請求による目的物返還請求権の行使期間
    民法1042条の期間制限に服するのは遺留分減殺請求権そのものだけであり、その行使の結果として生じた物権的請求権は消滅時効にかかりません
    例えば遺留分権利者が減殺請求により取得した不動産の所有権又は共有持分権に基づく登記手続請求権は、時効によって消滅することはありません。
    また受贈者が取得時効を援用したとしても、遺留分権利者への権利の帰属は妨げられません。

(日本加除出版発行「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」より)

 

監修

相続法務指導員 川島幸雄

相続手続き代行 埼玉県羽生市の身近な相続・遺言相談室
相続問題解決の埼玉県羽生市の身近な相続・遺言相談室を運営中。
「わたしたちは、まず関係者全員から相続に関する委任の同意を得る事から始めます。このため感情的な争い、訴訟になる可能性がぐんと減ります。相続トラブルや、相続争いがご心配な方は、ぜひ当事務所にご依頼ください。」

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