遺産分割協議中に死亡した相続人が独身の場合
ある方が亡くなって、その遺産分割協議がまだ整わないうちに、相続人の一人が亡くなってしまいました。
この場合、この亡くなった相続人に、妻や子がおれば、その方たちが、亡くなった相続人に代わって、遺産分割協議に加わります。
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この点はご存じの方も多いのではないでしょうか?
しかし、ここで面白い判例を見つけました。
この亡くなった相続人に、妻も子もない場合、つまり独身だった場合、この方の相続分は他の相続人に帰属してしまうのでしょうか?
平成元年の最高裁の判例では、この場合民法958条三項の規定を適用すべしとしました。
つまり「相続人が一人もいない場合には、家庭裁判所は、相当と認めるときは、相続される人と特別の縁故関係があった者、すなわち生活を共にしていた者や相続される人の療養看護に努めた者などの請求により、遺産を清算した残りの財産の全部または一部をこれらの者に分与することができる。」を優先すると。
ということは、「共有者の一人が、その持ち分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持ち分は、他の共有者に帰属する。」との規定は共有者の一人が相続人なくして死亡した場合、その共有持ち分は当然に他の共有者に帰属するわけではないということになります。
親が養子でその子もまた養子、相続関係はどうなるのか?
祖母と母が養子の関係であり、この母の子供も養子の関係であった場合で、
祖母が死去する前に母が死去し、祖母が亡くなった時、
この子供(祖母からみると孫)は母の代襲相続人として祖母の遺産を相続できるのでしょうか?
答えは養子縁組がいつ行われたかによります。
母と子の養子縁組が、祖母と母の養子縁組より後にされたものであれば、子供は母の代襲相続人として祖母の遺産を相続することができます。
要するに連れ子と同じということですね。
相続した不動産に抵当権が設定されている
相続した不動産に抵当権が設定されているというのは二つの場合が考えられます。
一つは被相続人自身が借金をしていて、その担保として抵当権を設定した場合です。
この場合には、相続人はその借金も引き継ぎますから、債務者として支払い義務を負います。
しかし、不動産が被相続人が死去し、団体信用生命保険で決済されれば債務は亡くなり、抵当権も消えます。
そうでなければ、債務を相続するか否かを決めなければなりません。
二つ目は、被相続人が他人の借金を担保するために抵当権を設定していた場合です。
これは物上保証人の立場を相続人が引き継ぐことになります。
この場合、債務者が返済している間は良いのですが、もし債務者が債務を支払わなくなった場合には、この不動産は競売にかけられます。
後見人が相続人の場合、利益相反になる。
この規定は、民法860条で、後見人について準用されていますので、相続が開始して、母と子の間で遺産分割協議をする場合に母が被後見人であり、後見人が相続人である場合は利益相反となり、特別代理人の選任が必要です。
ただし、この場合、後見監督人がある場合は、この限りでない、とされており、
その場合は、民法851条により、後見監督人が被後見人を代理することになります。
また、相続人である後見人が、民法843条3項により、相続人ではない別の後見人を家裁に選任の請求をすることができますので、相続人でない後見人に母の代理人になってもらって遺産分割協議をすることも可能です。
監修
相続法務指導員 川島幸雄
相続問題解決の埼玉県羽生市の身近な相続・遺言相談室を運営中。
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