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遺産分割の心構え 分割後のやり直しは成立するか

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遺産分割の心構え

遺産分割はとかく揉めなくてもいいところで揉めることが多いのですが、その最大の原因はコミュニケーション不足です。
一人の相続人が他の相続人に対して一方的にハンコを押せ!と強要するなどは後々揉めるために言っているようなものです。
各相続人が受け取る財産については、一応、法律で法定相続分が決まっています。ただこれは絶対ではなく、それと違う分け方をしたいので遺産分割の話合いをするわけです。

さてこの遺産分割をスムーズに決着されるためには、まず財産がいくらあるかをオープンにし、他の相続人がどんなことを考えているのかをよく把握します。
たとえば跡取りの相続人がいくらリード役だからといって、相続財産をさも自分の財産のように扱っていたのでは、他の相続人の反感を買うのは必至でしょう。
このあたりは根回しや各相続人の要望なども十分把握し、できるだけ公平にしなければなりません。
ただ公平にというのは、財産の価値や大きさ、金額だけの問題でなく、今までの被相続人への貢献度や介護、同居の有無、そしてなにより残された母親の面倒を誰が看るのか、親戚づきあいはどうしていくのかなども考慮し、感情的にしこりが残らないようにすることです。
また、跡取りだけでなく、他の相続人の方たちも譲れるところは譲らないと遺産分割はうまくいきません。

 

遺産分割のやり直しについて1

いったん遺産分割をしても、後になって納得のいかないところが出てきた場合に遺産分割をやり直すことができるのでしょうか?

まず最初の遺産分割が法的に正しい進め方をした場合、要するに法的な要件が整っている場合で考えましょう。

例えばもらった土地より、別の土地の方がよかったとか、思ったほど相続税が高くなかったのでもう少し財産を要求したかったなどですね。

そういうとき遺産分割のやり直しを可能にするには、相続人全員の同意が必要です。
あと相続税の申告前なら良いのですが、申告後ですと余分な税負担がかかってしまいます。つまり、一度申告して確定した相続財産を移動させることは贈与になるのです。内容によっては相続税と贈与税の二重払いになることもあります。
また申告前であっても遺産分割のやり直しに問題がないわけではありません。
ですからできる限り、遺産分割はやり直しをする必要がないよう、相続にまつわる理解をきちんとした上で行うことです。

よくあるのが、土地を相続した場合と現金を相続した場合に同じ一億円相当の価値でも評価の違いで納める相続税はまったく違ってしまいます。
それを後になって「そんなことは知らなかった」「知っていたら別の財産を要求していた」と言いだす相続人が多いのが現状です。
ですから簡単に「兄さんに任せるよ」「おれは忙しいんだから、お前たちで納得のいくよう進めてくれ」などと人任せにしないことです。

 

遺産分割のやり直しについて2

兄弟姉妹のうちの一人が海外出張などでいない間に、ほかの兄弟姉妹だけで遺産分割してしまうような場合、外された当人からすれば納得できないでしょうね。

日本の場合、税務署に申告する遺産分割協議書は記名式なので、PCのMSワードなどによる作成も可能ですし、署名捺印する場合もありますが、印鑑だけでも十分要件を満たします。
ですから、実印や印鑑証明を取るときのカードがあれば、家族が代わりに印鑑を押しても形式的には通ってしまいます
しかし、れっきとした相続人を外している場合、法的には問題があり、はずされた当人が遺産分割のやり直しを主張するケースですが、問題は、遺産分割のやり直しのために税務署が申告期限を延ばしたり、いったん申告したものを無効にしてくれるかです。
結論をいえば、まず無効になることはあり得ません。
当事者間の問題は、税務署には関係ないからです。
払うものは払ってください、ということです。
要するに最初の遺産分割協議書が成立している限り、税務署は期限までにきちんと相続税を納めなければペナルティを科しますし、滞納すれば延滞税もかかります。無申告には重い加算税もかかります。
あとは裁判しかありません。
そうなると遺産分割協議から外された当人だけでなく、すでに協議を終えたと安心していら兄弟姉妹にも結果としては災いが跳ね返るということになります。

(はじめての遺言・相続100問100答 清水真一郎著 明日香出版社版より)