2016年05月07日

相続するのか、相続放棄をするのかを三ヶ月以内に決めることの意味

相続放棄だけでなく、民法では第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)として、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」とあります。
まずこの意味について述べます。
たとえば相続が開始して、相続人が家庭裁判所に相続放棄の申述か、相続人全員で限定承認の申述をしなければ、単純承認といって、亡くなった方の財産(債務があれば債務も含め)相続をすることを認めたことになり、いったん単純承認をすると、以後取り消しはできません。
さてここで問題なのは亡くなった方に債務(借金)があったかどうかというのを把握するのはとてもむずかしいということです。
預貯金通帳の支払い明細で毎月一回出金(返済)の形跡があれば注意、といいますが、専門家でもない限りわからない面もあります。まして債務者からの通知などが保管されていることもまれです。
人間、債務というのは隠したがりますから。
そして相続人が相続を承認してから、半年〜一年位経った頃、債権者が相続人に、被相続人に○○円債務があり、返済について相談したい、とか、二週間以内に返済してください、といった文書が来て、驚嘆してしまうことになります。
こうした場合に、あくまで法律で「ある方が亡くなったことを知ってから三か月以内に相続放棄の申述をしないと相続放棄は認められない。ですから債務は相続人が全て負担しなければならない。」としたら、相続人にとってこんな理不尽なことはないでしょう。
そこである方が亡くなってから半年、一年と経過してからでも相続財産について一切触れていないとか、一銭も受け取っていないということであれば、そのような督促状が届いてはじめて被相続人に債務があったことがわかった時点で、家庭裁判所に相続放棄の申述をすれば受理される可能性があります。
ただしその経緯、理由について明確に記述しなければなりません。
あくまで基本は自己のために相続が開始したことを知った時から三ヶ月ですから。
いずれにしてもこういう問題でお困りの方は専門家にすぐご相談ください。
posted by yk at 22:04| Comment(0) | 業務

2015年12月25日

相続財産に使途不明金がある場合

使途不明金とは、@被相続人の死亡直前に被相続人名義の預貯金を引き出してしまう場合A被相続人の死亡後に、被相続人名義の預貯金口座から金員を引き出してしまう場合があります。
このように被相続人の預貯金が無断で払い戻され、特定の相続人が取得した場合は、不法行為又は不当利得の問題で訴訟事項です。したがって遺産分割審判では取り上げることはできません。

@使途不明金が判明しなかった場合
 「他にも遺産がある」といって譲らない人がいるとき 
   イ.不法行為に基づく損害賠償請求 
   ロ.不当利得返還請求訴訟を別途提訴
 調停は「使途不明金がないもの」として続行します。
A使途不明金が判明した場合
   イ.相続開始前の場合は被相続人の贈与の意思があれば特別受益の問題となります。
   ロ.被相続人に無断で引き出した場合で、自己使用を認めたなら遺産の先取りとして調停OK。
     自己使用を認めないなら、訴訟。
   ハ.相続開始後の場合は、ロとなります。
(日本加除出版発行「家庭裁判所による遺産分割・遺留分の実務」より)
posted by yk at 22:21| Comment(0) | 遺産相続 遺言

2015年12月14日

可分債権債務、不可分債権債務の相続

金銭などの可分債権債務は民法900条に規定される相続人各人の相続分に応じて支払う義務があり、請求する権利がある。しかし、物の売主の引渡し義務や土地所有権に基づく建物収去、土地明け渡し請求権などは不可分的に相続されるから、債権者は相続人の一人に対しても、全部の履行を請求できる。
posted by yk at 22:42| Comment(0) | 遺産相続 遺言

2015年12月07日

「だれだれに・・・を相続させる」遺言があった場合の遺留分減殺請求

「相続させる」旨の遺言によって遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求をすることができ、減殺の順序は遺贈と同列となります。
また特定の遺産についての「相続させる」旨の遺言と全財産を「相続させる」旨の遺言の場合で遺留分減殺請求をした者は、訴訟による共有物分割手続きによって共有関係を解消することになります。
そして割合的「相続させる」旨の遺言の場合は、特定の財産が受益相続人に帰属しているわけではないので、遺産分割手続きによります。(日本加除出版「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」より)
posted by yk at 21:52| Comment(0) | 遺産相続 遺言

2015年12月06日

株式や協同組合などの出資金の相続

判例では株式(株主権)は不可分であり、遺産分割がなされるまでは共同相続人が株式を準共有する状態となり、審判の対象となる得るとしています。
一方協同組合の出資金(払い戻し請求権)は単なる金銭債権と評価されることから、預貯金と同様に遺産分割前において当然に分割されます
posted by yk at 23:22| Comment(0) | 遺産相続 遺言

2015年12月05日

新婚夫婦が事故で同時に死亡した場合の相続

結婚の届出を済ませたばかりの新婚旅行中の夫婦が飛行機事故で死亡した場合、その夫婦に子供がないとすると
相続人はそれぞれの親である。この場合たとえば夫が一分一秒でも先に死亡したことが明らかであれば、夫の財産の半分を妻が相続し、それを妻の両親が相続することになり、逆に妻が先に死亡したことが証明できれば夫が妻の財産を相続し、それを夫の両親が相続するということになる。しかし現実、飛行機事故ではどちらが先に死亡したかの証明は不可能に近い。ゆえにこのような場合には、夫婦は同時に死亡したものと推定される。そして同時に死亡した者の間では相続は発生しないので、夫の財産は夫の両親へ、妻の財産は妻の両親へ相続される。もし両親(十分に財産はもっているので)以外に財産をあげたい場合は、夫婦がお互いに遺言を残し、このように同時死亡と推定される場合は、だれだれに遺贈する、としておけばよいでしょう。
posted by yk at 22:49| Comment(0) | 遺産相続 遺言

2015年11月28日

遺言があっても寄与分の請求はできる

民法904条の2(寄与分)では、「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始のときにおいて有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、900条から902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。」とあります。
そして904条の2が引用している900条は法定相続分を定める規定、901条は代襲相続人の相続分を定める規定、902条は遺言による相続分の指定に関する規定です。
このように、遺言による相続分の指定があっても、寄与者は寄与分の請求ができるという解釈になります。
posted by yk at 22:23| Comment(0) | 遺産相続 遺言

2015年11月27日

相続人の廃除

被相続人が、民法892条の定めるところにより相続権を持つ人間に著しい非行の事実がある場合に、家庭裁判所に「推定相続人廃除調停申立て」をすることにより推定相続人の持っている遺留分を含む相続権を剥奪する制度である。
廃除の対象者は1028条により遺留分が認められている被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に限られる。被相続人の兄弟姉妹も推定相続人となりうるが、これらの者については遺留分が認められていないので(1028条)、相続人は902条1項により相続分を指定することで相続させないようにすることができることから廃除の対象とはならない。
ただし、その相続人に子がいる場合にはその子供に相続権が移行されることになる(代襲相続)。相続人の子が未成年の場合は相続された財産を相続廃除された人間が好き勝手に使われる可能性があるが、その可能性を排除するためには、財産管理権喪失や親権喪失の申し立てをして、相続廃除された人間の権利を制限する必要がある。
廃除の理由となる場合としては以下のようなものがある。
被相続人を虐待した場合
被相続人に対して、重大な侮辱を与えた場合
推定相続人にその他の著しい非行があった場合
被相続人の財産の不当処分
賭博を繰り返して多額の借財を作りこれを被相続人に支払わせた
浪費、遊興、犯罪行為、反社会集団への加入・結成、異性問題を繰り返すなど親泣かせの行為
重大な犯罪行為を行い有罪判決を受けている(過去の判例からの一般論としては5年以上の懲役、無期または死刑に該当するような犯罪行為)
相続人が配偶者の場合には婚姻を継続しがたい重大な事由
愛人と同棲して家庭を省みないなどの不貞行為
夫婦関係の事実が存在しない(遺産目当てに戸籍上の夫婦になった場合など)
相続人が養子の場合には縁組を継続しがたい重大な事由
親子関係の事実が存在しない(遺産目当てに戸籍上の養子になった場合など)
家庭裁判所はこの申立てに対し慎重に審議する傾向にあり、実際に相続廃除が認められた事例は多くない。また、相続廃除は遺言で行うことも可能であるが(民法893条)、推定相続人が異議申立てをすると認められない場合がほとんどであり、推定相続人が一切の異議を申し立てないか、重大な犯罪行為で刑務所に入っている最中でもなければ相続権が剥奪されることは稀である。
posted by yk at 22:28| Comment(0) | 遺産相続 遺言

相続する予定の不動産に抵当権がついている場合

相続した不動産に抵当権が設定されているというのは、二つの場合が考えられます。
一つは被相続人自身が借金をしていて、その担保として抵当権を設定していた場合です。
この場合には相続人はその借金も引き継ぎますから、債務者として支払い義務を負います。
しかし、死去したために団体信用生命保険で決済されれば債務は無くなり、抵当権も消えます。
そうでなければ相続人は被相続人の債務を相続するか否かを決めなければなりません。
二つ目は被相続人が他人の借金を担保するために抵当権を設定していた場合です。これは物上保証人の立場を相続人が引き継ぐことになります。
この場合、債務者が返済している間は良いのですが、もし債務者が債務を支払わなくなった場合には、この不動産は競売にかけられてしまいます。相続人としては債務者に買い取ってもらうのが一番良いのでしょうが、それだけの資金があれば最初から借金などしておらないでしょうね。
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2015年11月23日

遺贈の効力発生または無効となる場合

遺贈の効果
遺贈の効力が発生した後、受遺者が遺贈の承認又は放棄の意思表示をすることなく死亡したとき、原則として(遺言者が別段の意思を遺言中で表示していない限り)、受遺者の相続人に承継されます。
遺贈の無効事由
@遺言者が死亡する以前に、受遺者が死亡した場合(民法994条1項)。
A停止条件付き遺贈で、条件成就する前に受遺者が死亡した場合(別段の意思表示がされていない場合(民法994条2項)。
B遺贈の目的物が、遺言者の死亡時点で、相続財産に属していなかった場合(民法996条)。

遺贈が無効となった場合や、遺贈の放棄によって失効した場合において、受遺者が受けるべきであった財産は、遺言者が別段の意思を遺言中で表示していた場合を除き、相続人に帰属します。(民法995条)。
posted by yk at 21:28| Comment(0) | 遺産相続 遺言