2017年03月22日

相続人の廃除(相続権の剥奪)は簡単ではない

被相続人が、民法892条の定めるところにより相続権を持つ人間に著しい非行の事実がある場合に、家庭裁判所に「推定相続人廃除調停申立て」をすることにより推定相続人の持っている遺留分を含む相続権を剥奪する制度です。ただし、その相続人に子がいる場合にはその子供に相続権が移行されることになります(代襲相続)。
廃除の理由となる場合としては以下のようなものがあります。
•被相続人を虐待した場合
•被相続人に対して、重大な侮辱を与えた場合
•推定相続人にその他の著しい非行があった場合
o被相続人の財産の不当処分
o賭博を繰り返して多額の借財を作りこれを被相続人に支払わせた
o浪費、遊興、犯罪行為、異性問題を繰り返す親泣かせの行為
o重大な犯罪行為を行い有罪判決を受けている(過去の判例からの一般論としては5年以上の懲役、無期または死刑に該当するような犯罪行為)
o相続人が配偶者の場合には婚姻を継続しがたい重大な事由
愛人と同棲して家庭を省みないなどの不貞行為
夫婦関係の事実が存在しない(遺産目当てに戸籍上の夫婦になった場合など)
o相続人が養子の場合には縁組を継続しがたい重大な事由
親子関係の事実が存在しない(遺産目当てに戸籍上の養子になった場合など)
家庭裁判所はこの申立てに対し慎重に審議する傾向にあり、実際に相続廃除が認められた事例は多くありません。また、相続廃除は遺言で行うことも可能ですが(民法893条)、推定相続人が異議申立てをすると認められない場合がほとんどで、推定相続人が一切の異議を申し立てないか、重大な犯罪行為で刑務所に入っている最中でもなければ相続権が剥奪されることは稀なのです。
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 21:38| 遺産相続 遺言

2017年03月21日

配偶者が生死不明の場合の相続と再婚

配偶者が三年以上生死不明の場合は、それだけで離婚が認められます。(民法770条1項3号)ただし相手が生死不明なので、協議離婚も調停もできません。家庭裁判所に提訴して公示送達という方法で離婚判決を得なければなりません。もうひとつの方法は失踪宣告を得る方法です。7年間以上生死不明の場合には、利害関係人が申し立てて家庭裁判所に失踪宣告を下してもらうことができます。(民法30条1項)失踪宣告がなされると、生死不明となってから7年経過した時点でその人は死亡したものとみなされます。戸籍にも死亡の事実が記載されます。相続も発生し、配偶者として相続分を取得します。配偶者の一方が死亡すると婚姻も終了しますから、そのあとは残された配偶者は自由に再婚することができます。しかし万が一、生死不明の人が生きていたら、その時点でその人の戸籍の回復ができます。それに失踪宣告が取り消されるので、婚姻も復活します。もし配偶者が再婚をしていると、重婚となり再婚が取り消される危険があります。しかし、いったん相続した財産についてはその時点で残っている分を返還すればよいとされています。さて一方裁判離婚した場合は、あとで配偶者が現れたからといって離婚が無効になるということはありません。ですから再婚を希望するなら離婚判決を得る方を選択すべきでしょう
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 23:12| 遺産相続 遺言

2017年03月20日

相続人の一人(独身者)が遺産分割協議中に死亡してしまった場合、その相続分はどうなる?

民法225条は「共有者の一人がその持ち分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持ち分はほかの共有者に帰属する」と規定しています。これは共有者の一人が相続人なくして死亡した場合、その共有持ち分は当然に他の共有者に帰属するように読めますが、最高裁は、他の財産と別に取り扱う必要を認めず、民法958条の3に規定する「・・・相当と認めるときは、家庭裁判所は被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」を優先して適用するものと判示しました。
ただし特別縁故者が相続財産管理人に対し財産の分与を求める申し立ての前に亡くなった時は、その地位は承継されません。
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 21:13| 遺産相続 遺言

2017年03月19日

遺言がある場合、寄与分の請求はできるのか?

民法904条の2では、「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始のときにおいて有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、900条から902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。」
なお、904条の2が引用している900条は法定相続分を定める規定、901条は代襲相続人の相続分を定める規定、902条は遺言による相続分の指定に関する規定です。
これによって明らかなように、遺言による相続分の指定があっても、寄与者は寄与分の請求ができるのです。
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 14:19| 遺産相続 遺言

2017年03月18日

生前贈与のメリットとデメリット

生前贈与のメリット、デメリットはどのような目的で贈与されているかによります。
税金の面から言いますと、生前贈与の場合は贈与税がかかりますので、相続税と比べれば割高です。
ただし、例外としては、結婚20年以上の配偶者間贈与や相続時精算課税制度を使った親子間贈与があります。
しかし、贈与の対象物が不動産の場合はもらう側に不動産取得税も課税され、これはいかなる控除も受けられません。必ず課税される税金です。
さてそこで生前贈与のメリット、デメリットですが、税金面ではなく、確実に所有権を移転したいということであればメリットになるでしょう。
ただし、相続時の遺産分割では相続人に生前贈与されたものは「持ち戻し」といって、民法上相続財産に含めなければなりませんので、贈与した方が遺言で「持ち戻し免除」、つまり「相続人○○に贈与した財産はもち戻しを免除する。」と書いておけばよいでしょう。
ただし、この場合当然のことながら遺留分を侵害することはできません。
いずれにしても相続人が複数の場合は、生前贈与は他の相続人のことも考え、相続時にもめることのないよう注意が必要です。
あげてしまえば、あるいはもらってしまえば問題ない。ということにはなりません。



posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 22:08| 遺産相続 遺言

2017年03月17日

遺言書に書かれている相続人や受遺者が遺言者より先に亡くなった場合

遺言書が書かれた後で、相続人や受遺者が遺言者よりも先に亡くなってしまうことがあります。
この場合は遺言書の中でこの亡くなった方に該当する部分が無効となります。
ですから次順位の相続人や代襲相続人に引き継がれるということはありません。
遺言で相続や遺贈されることになっていた遺産は遺言者が亡くなった時点での法定相続人で遺産分割協議を行なうことになります。
また遺言者にとってはこういうケースに備え、予備的遺言といって「○○の預金はAに相続させる(又は遺贈する)。ただしAが遺言者より先にもしくは同時に死亡した場合はBに相続させる(又は遺贈する)。と書いておけばよろしいでしょう。(平林亮子著「相続が危ない」より)
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 22:39| 遺産相続 遺言

2017年03月16日

遺留分算定の基礎となる財産

留分算定の基礎となる財産は、相続開始時に存在する財産に被相続人が相続開始前1年以内に贈与した財産を加え、これらから相続債務を引いたものになります。
被相続人が贈与した財産を加えることを「持ち戻し」と言いますが、これを行う理由は、そうしないとすべての財産を誰かに贈与した場合、遺留分がなくなってしまいます。
なお相続開始前1年よりも以前に贈与された財産では、贈与の当事者双方が遺留分権利者に侵害を加えることを知っていた場合は、やはり持ち戻しとなります。
しかし、これを証明することはかなり難しいことと言わざるをえません。
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 20:54| 遺産相続 遺言

2017年03月15日

相続と葬儀費用負担

先祖代々の系譜や祭具、墳墓等を「祭祀財産」といいます。しかし、「祭祀財産」といえど、財産的な意味はなく、現金、預貯金、不動産等のような一般の財産には含まれません。
また「祭祀財産」は相続するものではなく、受け継ぐものです。
これは「祭祀主宰者」が承継することになります。故人の遺体や遺骨もそうです。
祭祀主宰者は通常、被相続人が生前に指定したり、遺言で指定された人がなります。
もし指定がなければ地域の慣習や相続人間の話し合いで決めますが、必ずしも相続人の中から決めなくてはいけないということはありません。
さて問題は葬儀費用ですが、負担するのは一般的に喪主です。
そして葬儀費用は相続財産から支出すると決まっているわけではないので、場合によっては喪主が自己負担することもあります。ただし香典や弔慰金も喪主が処分権を持っているといえます。
しかし、葬儀費用を負担するといっても額によっては自己負担できないケースもあります。
そして被相続人が亡くなる前に、口座から下ろしてしまったり、亡くなった後、金融機関が口座を凍結する前に引き出してしまったりして、葬儀費用に当てるケースがあります。
これはしばしば相続人間で問題になります。
勝手に引き出したお金は、亡くなる前だと生前贈与、後だと相続財産の前渡しとしてきちんと処理しないと、不法行為にもなりかねません。
もしどうしても葬儀費用を相続財産から支出する場合は、きちんと明細を明らかにして、領収書も添付するなどして、喪主が私用に使ったなどと他の相続人から疑われないようにしておくことです。
そのうえで遺産分割協議のときに葬儀費用の負担をどうするか、話し合うべきでしょう。
一番良いのは事前に葬儀費用について誰がどう負担するのか、きちんと決めておくことが大切です。
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 21:28| 遺産相続 遺言

2017年03月14日

相続財産が不明の場合の調べ方

亡くなった人(被相続人)の通帳が見当たらないか、特定の相続人などが抱え込んでしまっている場合、早く口座を調べて閉鎖しないと、勝手に引き出されたり、なにより遺産分割ができません。
この場合、心当たりの銀行やゆうちょの支店を片っ端から当たって、被相続人の口座の有無を確認しましょう。戸籍謄本で相続人であることの証明と本人確認書類を持参すれば相続人なら口座の有無、残高証明書の発行等に応じてもらえます。
また委任状があれば行政書士など士業が代理で請求することもできます。

さて口座がわかったら、1〜3年間位の取引明細を出してもらいましょう。
この入出金の記録から、貸金庫を借りていたり、生命保険に加入していたり、株式を保有していたり、あるいは借金の返済記録があったりなど相続財産の状況がわかってきます。
また不動産の場合は固定資産税の納税通知書から所有状況がわかりますが、役所の税務課で被相続人名義の名寄せ帳というのを取得すると、その役所管轄内で被相続人が所有していた不動産がすべて把握できます。
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 22:11| 遺産相続 遺言

2017年03月13日

相続人の一人が遺産を独り占めしている場合

共同相続人の一人が遺産を独り占めにしている場合、他の相続人にしてみれば自己の相続権を侵害されていることになるので相続回復請求権の問題となりそうですが、独り占めしているのは不真正相続人ではなく,
れっきとした法定相続人なので相続回復請求権とは違い、所有権に基づく返還請求をすることになります。この場合、相続回復請求権とは違い、消滅時効はありません。
posted by 行政書士川島幸雄(埼玉県羽生市) at 22:05| 遺産相続 遺言